海賊版サイトの逮捕例まとめ|運営者・アップロード者に科された刑事罰と判決【2026年版】
海賊版サイトをめぐる摘発は、ここ数年で確実に増えています。この記事では、公表資料で確認できた逮捕・判決の事例を、国内と海外に分けて一覧にしました。あわせて、著作権法がどの行為にどれだけの刑事罰を定めているのかを条文で示します。当編集部は無断転載サイトの利用を推奨していません。
結論:摘発されているのは「作って配っていた側」
先に全体像です。公表資料で確認できる逮捕例は、サイトを運営していた人、作品をアップロードしていた人、侵害コンテンツへのリンクを提供していた人に集中しています。著作権法も、この3つの立場それぞれに刑事罰を定めています。
立場ごとの刑事罰サイト運営やアップロードは10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、リーチサイトの運営は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、リンクの提供は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。法人には別途、最大3億円以下の罰金が科されることがあります。以下、実際に公表されている事例を見ていきます。金額と刑期はすべて、権利者団体や報道で確認できたものだけを載せています。
国内の逮捕・判決事例
漫画村(運営者)
2016年ごろに開設され、2018年4月に閉鎖。閉鎖までのアクセスは約5億3,700万件と報じられています。元運営者には懲役3年の実刑、罰金1,000万円、追徴金約6,200万円の判決が言い渡されました(2021年6月2日・福岡地裁)。
さらに民事でも、約17億円の損害賠償を命じる判決が出ています(2024年4月18日)。刑事と民事の両方で責任を負った形です。
週刊少年ジャンプの発売前データ提供(アップロード側)
雑誌を発売の5日前に販売店から入手し、デジタルデータ化して海賊版サイトへ提供していた事件です。2024年2月4日に会社経営者と従業員が逮捕され、同年7月25日に熊本地裁が有罪判決を出しました。
| 対象 | 判決 |
|---|---|
| 会社経営者 | 懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)・罰金50万円 |
| 従業員 | 懲役1年(執行猶予3年)・罰金30万円 |
| 法人 | 罰金100万円 |
出典: ACCS 著作権侵害事件
法人にも罰金が科されている点が特徴です。著作権法には両罰規定があり、行為者だけでなく所属する法人も処罰の対象になります。
リーチサイトの運営者(リンク提供側)
2020年10月にリーチサイト規制が施行され、侵害コンテンツへのリンクを集めて提供する行為が処罰対象になりました。2023年5月には、映画やドラマへの違法リンクを掲載していた5サイトについて、京都府警が運営者4名を検挙しています。
アダルト作品の分野でも、2020年11月に海賊版へ誘導するリーチサイトの運営者2名が逮捕されています。改正著作権法によるリーチサイト初の摘発として報じられました。
ネタバレサイト(国内初の摘発)
映画の内容を文字に起こして掲載していたサイトの運営者が、2024年10月に宮城県警に逮捕されました。映像そのものではなく「文字起こし」でも摘発された国内初の事例です。経営者には拘禁刑1年6ヶ月(執行猶予4年)と罰金100万円、共犯のライターには罰金50万円が科されています。
海外で摘発された事例(日本の権利者団体の働きかけ)
運営拠点が海外にあっても摘発されています。以下はいずれも中国の公安当局による摘発、中国の裁判所による判決で、CODA(コンテンツ海外流通促進機構)が現地当局へ働きかけた案件です。日本国内の司法手続きとは別のものとして読んでください。
| サイト | 摘発 | 判決 |
|---|---|---|
| B9GOOD(アニメ) | 2023年2月 | 運営者に懲役3年(執行猶予)・罰金180万元(約3,800万円)。住居も没収 |
| 深藍・COCO(無許諾配信) | 2024年1月・6月/計13名逮捕 | 主犯に懲役3年(執行猶予)・罰金360万元(約8,300万円) |
| ZzzFun(アニメ) | 2025年2月 | 運営者に懲役1年・罰金3万5,000元(約80万円) |
| BATO.TO(漫画) | 2025年11月 | 捜査継続中(起訴予定) |
出典: CODA ニュースリリース
B9GOODは、2021年3月からの2年間で3億回を超えるアクセスがあり、そのうち約95%が日本からのアクセスだったと公表されています。無断で掲載されていた作品は45,880本。摘発とともにサイトは閉鎖されました。
海外にサーバーを置けば逃げ切れる、という前提が崩れてきているのが近年の流れです。
著作権法はどの行為に、どれだけの刑事罰を定めているか
条文で確認できる範囲を整理します。2025年6月1日施行の刑法改正により、条文上の「懲役」は「拘禁刑」に置き換わっています(年数・金額は従来と同じ)。
| 行為 | 条文 | 刑事罰 |
|---|---|---|
| 権利者の許諾なくアップロードする(公衆送信権の侵害) | 第119条第1項 | 10年以下の拘禁刑 または 1,000万円以下の罰金(併科あり) |
| リーチサイトを運営する | 第119条第2項第4号・第5号 | 5年以下の拘禁刑 または 500万円以下の罰金(併科あり) |
| 侵害コンテンツへのリンクを提供する | 第120条の2第3号 | 3年以下の拘禁刑 または 300万円以下の罰金(併科あり) |
| 法人の両罰規定 | 第124条第1項 | アップロード・リーチサイト運営は3億円以下の罰金、リンク提供は300万円以下の罰金 |
出典: e-Gov法令検索 著作権法
これらは原則として親告罪ですが、対価を得る目的で有償の作品を原作のまま公衆送信する場合など、一部は告訴がなくても起訴できる非親告罪とされています(第123条第2項)。「権利者が動かなければ大丈夫」とは限らない、ということです。
摘発の流れは加速している
年表にすると、対策が段階的に強化されてきたことが分かります。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2018年4月 | 漫画村が閉鎖 |
| 2020年10月 | リーチサイト規制が施行。リンク提供が処罰対象に |
| 2020年11月 | アダルト作品のリーチサイト運営者を逮捕(初摘発) |
| 2021年6月 | 漫画村の元運営者に実刑判決 |
| 2023年2月 | B9GOODを中国当局が摘発(海外運営者への刑事罰は初) |
| 2024年2月 | ジャンプ早バレ事件で逮捕 |
| 2024年4月 | 漫画村の元運営者に約17億円の賠償命令 |
| 2024年10月 | ネタバレサイト運営者を逮捕(国内初) |
| 2025年2月・11月 | ZzzFun、BATO.TOを中国当局が摘発 |
被害額の推計も公表されています。出版物の「タダ読み」被害は2021年に約1兆19億円とピークを記録した後、2023年には約3,818億円まで縮小しました(ABJ推計)。大手サイトの相次ぐ摘発と閉鎖が効いた結果と分析されています。
サイトは、ある日まとめて消える
摘発のもう一つの帰結が、サイトそのものの消滅です。
- 漫画村:5億回以上のアクセスを集めながら、2018年4月に閉鎖
- B9GOOD:3億回超のアクセスがあったが、摘発とともに閉鎖
- 13DL.NET:発信者情報の開示手続きを機に閉鎖(刑事摘発は確認できず)
規模が大きいほど権利者団体の標的になり、結果として大きいサイトほど消えています。今アクセスできることは、明日もアクセスできる保証になりません。
VR作品でいえば、容量が数GB〜10GBと大きいぶん転載側の負荷も高く、再エンコードによる画質劣化と配信の不安定さが同時に起こります。この構造は無断転載サイトの仕組みに書いたとおりです。
まとめ
公表資料で確認できる逮捕例を整理すると、次のようになります。
- 摘発されているのは運営者・アップロード者・リンク提供者
- 刑事罰は最大で10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金。法人には3億円以下の罰金
- 民事でも高額の賠償が命じられている(漫画村で約17億円)
- 海外に拠点を置いても、権利者団体の働きかけで現地当局に摘発されている
- 摘発されたサイトは閉鎖され、二度と使えなくなる
本記事は法的助言ではありません。個別の判断が必要な場合は専門家にご相談ください。記載した事例・数値は各出典の公表時点のものです。
よくある質問
- Q.海賊版サイトの逮捕例で最も重い刑罰は?
- A.漫画村の元運営者に言い渡された懲役3年の実刑・罰金1,000万円・追徴金約6,200万円です。
- Q.リンクを貼るだけでも摘発されますか?
- A.されています。リーチサイト規制により、リンク提供は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です。
- Q.海外にサーバーがあれば摘発されない?
- A.いいえ。中国では日本の権利者団体の働きかけで運営者が摘発され、有罪判決が確定した例があります。
- Q.会社としてやった場合はどうなりますか?
- A.両罰規定により法人も処罰され、アップロードやリーチサイト運営では3億円以下の罰金が定められています。
- Q.権利者が告訴しなければ立件されない?
- A.原則は親告罪ですが、対価目的で有償作品を原作のまま公衆送信する場合など非親告罪となる類型があります。
- Q.摘発されたサイトはその後どうなりますか?
- A.漫画村もB9GOODも閉鎖され、それ以降アクセスできなくなりました。
「懲役」ではなく「拘禁刑」と書かれているのはなぜですか?
2025年6月1日施行の刑法改正で、懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化されたためです。著作権法の条文上も「拘禁刑」に置き換わっています。年数や罰金額は従来と変わりません。過去の判決を紹介する際は、当時の表記である「懲役」をそのまま使っています。
国内の事例と海外の事例は同じように扱えますか?
扱えません。B9GOOD、深藍・COCO、ZzzFun、BATO.TOはいずれも中国の公安当局による摘発で、判決も中国の裁判所によるものです。日本の司法手続きとは制度が異なるため、この記事でも国内と分けて整理しています。共通しているのは、権利者団体が現地当局に働きかけて摘発に至っているという点です。
被害額はどのくらい公表されていますか?
出版物の「タダ読み」被害はABJの推計で2021年に約1兆19億円とピークを迎え、2023年には約3,818億円まで縮小しました。コンテンツ全体では、CODAが2022年時点で約1兆9,500億〜2兆2,020億円という推計を公表しています。いずれも推計値であり、算出方法は各団体の公表資料で確認できます。
ネタバレサイトまで摘発されたのはなぜですか?
映像や画像そのものを掲載していなくても、作品の内容を文字に起こして掲載する行為が著作権侵害にあたると判断されたためです。2024年10月に運営者が逮捕され、国内初の事例として報じられました。「映像を上げていないから大丈夫」という理解が通用しないことを示した事件です。
摘発は今後も続きますか?
年表のとおり、2020年のリーチサイト規制以降、国内外で摘発が継続しています。海外拠点のサイトについても、権利者団体が現地当局と連携して摘発に至る事例が2023年以降に複数出ています。公表されている事実から見る限り、取り締まりが緩む方向の動きは確認できません。
この記事を担当した編集者
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